月九ブザー・ビート第五話

フジテレビ系。月九ドラマ「ブザー・ビート」。第五話。
七海菜月(相武紗季)が第一話以来これまで一貫して裏表のある悪女風の人物として設定され、描かれてきたのは、上矢直輝(山下智久)の心変わりを正当化するためにはそうするしかなかったからだろう。女が浮気をしたから男はその女を捨てたのだ…という話に見せかけたいわけだろう。
だが、この策略は必ずしも成功しているとは云えない。なぜなら上矢直輝の心変わりは、彼が恋人の浮気に気付くよりも先に既に生じていたとしか見えないからだ。彼は恋人の浮気に気付いたからその女を捨てたのではなく、別の女に恋心を抱き始めたところで丁度よく恋人の浮気を知ったので、安心して古い恋を捨てて新たな恋に乗り出しただけなのだ。
さらに云えば、七海菜月をことさらに悪女風に描かざるを得なかったのは、上矢直輝に魅力が乏しいのを補うためではなかったかと考えることもできよう。傍証として、七海菜月の浮気相手が全く魅力的に見えないことを挙げたい。あの程度の男に浮気をしてしまうのは、上矢直輝にその程度の魅力さえもないからではないかと疑われるのだ。
ともかくも云えることは、白河莉子(北川景子)に対する上矢直輝の関心は当初から真剣なものであり、云わば、浮気ならぬ「本気」であると見受けられるということだ。ここで問う必要がある。恋人とは別の男に浮気をした七海菜月と、恋人とは別の女に本気で好意を抱き始めている上矢直輝と、真に不実であるのは何れだろうか?という問題を。